波の伊八の作品を巡るモデルコース(1泊2日)
日本が誇る江戸時代末期の浮世絵師・葛飾北斎(かつしかほくさい)は、西洋の印象派の画家たちに大きな影響を与えたと言われていますが、千葉県には、そんな葛飾北斎の作品に影響を与えたとされる彫刻師がいました。「波を彫らせたら天下一」と謳われた名工「波の伊八(なみのいはち)」です。なかでも、龍や波の表現は抜群で、「関東に行ったら波を彫るな」といわしめたほど。
県内各地に数多く残る、伊八の作品を巡る旅に出掛けてみましょう!
※紹介する観光スポットの見学時間は、目安です。
- 所要時間
- 1泊2日
- 交通手段
- 車
大山寺不動尊/鴨川市〔滞在時間:約1時間〕
「波の伊八」作の竜の欄間と厨子は県の有形文化財!
江戸時代後期、1802年(享和2年)に建てられた不動堂。その正面には、鴨川出身の彫物大工で「波の伊八」と呼ばれた武志伊八郎信由(たけしいはちろうのぶよし)が彫った竜の欄間が飾られています。うねりを伴った力強い波に、にらみを利かせた2体の竜。欄間と本尊を安置する厨子は、千葉県の有形文化財にも指定されています。
その他、鎌倉時代後期につくられたとみられる、県指定の貴重な「木造不動明王像」も。普段は非公開になっており、毎年2月3日の節分会のみ、その姿を見ることができます。
- 住所
- 鴨川市平塚1718
- 電話番号
- 04-7098-0178
- 車で約25分
金乗院/鴨川市〔滞在時間:約30分〕
金乗院(こんじょういん)は、真言宗智山派の寺院で安房国八十八箇所弘法大師霊場の53番札所にもなっています。
ここでは、初代伊八作といわれる、大日如来堂の「龍」や「酒仙の図(しゅせんのず)」などを見ることができます。「酒仙の図」では、仙人たちが宴を楽しみ、踊り出さんばかりの様子が、繊細な装飾で巧みに表現されています。この海面の揺らめきのような、柔らかな表現力が伊八の持ち味のひとつと言われています。
大正時代、彫刻家の高村光雲が大日如来堂を訪れ、彫刻の秀雅さは関東では稀であると評したと言われています。
- 住所
- 鴨川市打墨709
- 電話番号
- 04-7092-2043
- 車で約40分
真野寺/南房総市〔滞在時間:約30分〕
四季折々の花が咲く、商売繁盛、金運上昇の強力パワースポット
開山1300年を迎える古刹。樹齢百数十年の杉の木立が並び、四季折々の花が彩り鮮やかに咲き誇る花の寺、真野寺。商売繁盛・金運上昇の「真野大黒天」と親しまれ、多くの参詣者が訪れます。
本尊は行基作と伝わるお面を付けた千手観音で、全国でも例のない「覆面千手観音」として知られています。また、860年、慈覚大師が真野寺に参籠し飢饉や疫病に苦しむ民の為に救済の祈りを捧げていたところ、東の空に朝日のように輝く大黒天が現れ人々を幸福に導いたといわれ、慈覚大師がその姿を彫り上げたと伝わる「朝日開運大黒天」もお祀りされています。朝日開運大黒天が現れた2月6日(旧暦1月6日)には「大黒天大祭 福祭り」が盛大に行われ、関東一円から商売繁盛、開運招福を祈る多くの人が訪れます。また、毎月6日の縁日には開運マルシェが開催され、境内が賑わいます。
境内を囲むように咲く桜が満開になる春、3,000株のあじさいが色付く初夏だけでなく、梅、ミモザ、ツツジ、サツキ、山百合、コスモス、水仙などさまざまな花が植えられ、季節ごとの美しさを見せてくれます。
- 住所
- 南房総市久保587
- 電話番号
- 0470-46-2590
- 営業時間
- 9:00~16:00
- 車で約15分~30分
南房総温泉郷/南房総市〔宿泊〕
絶景自慢の湯、美肌の湯、歴史のある湯、秘湯など、様々な湯処がある南房総市ですが、千倉町にも「南房総温泉郷」に加盟する7つの湯処があります。
個性豊かな各施設が提供する温泉と質の高いサービスは、忘れ得ぬ最高の想い出となるはずです。日帰り入浴が楽しめる施設もありますので、旅の疲れを洗い流してはいかがでしょうか。
- 住所
- 南房総市千倉町各所
- 電話番号
- 0470-28-5307(南房総市温泉組合)
- 車で約15分~30分
大聖院/南房総市〔滞在時間:約20分〕
南房総市千倉町大川にある、真言宗智山派の妙高山大聖院(だいしょういん)。
欄間には安永4年(1775年)作の初代武志伊八郎信由の彫刻があります。中央が「波と龍」、左右は「麒麟(きりん)」の三面(南房総市指定)。
本尊は大聖不動明王で、良弁僧正(ろうべんそうじょう)が刻んだと伝えられています。不動尊など見所も多く、ハイキングにもぴったりです。
- 住所
- 南房総市千倉町大川817
- 電話番号
- 0470-43-8717
- 車で約2時間
太東埼灯台/いすみ市〔滞在時間:約1時間〕
初日の出スポットとしても有名!青い空と海に映える灯台
太東埼灯台は、九十九里浜最南端の太東埼に位置する中型灯台。15.9mの高さから22海里(約41km)まで灯台の光が照らしています。白亜塔形(円形)のフォルムは青い空や海に映え、際立つ美しさが魅力です。
灯台が太東埼に移築されたのは1952年のこと。その後海岸浸食により大規模な崖崩れがあったため100m後退し、1972年に現在の場所へと新設されました。
灯台のある広場からは、太平洋の大海原が一望でき眺望抜群。全国でも太陽がいち早く昇る、絶好の初日の出スポットとしても有名です。美しい景色だけでなく、スカシユリや水仙など季節の花々を見ることができるのも魅力のひとつ。8月にはコスモスが見ごろを迎え、華やかな雰囲気を演出します。海を臨むドラマチックな眺望と、咲き誇る花々とのコラボレーションを楽しみましょう。
- 住所
- いすみ市岬町和泉
- 電話番号
- 0470-62-1243
- 休業日
- 無休
- 車で約10分
飯縄寺/いすみ市〔滞在時間:約1時間〕
江戸の建築が残る、牛若丸と大天狗の彫刻が見事な「天狗の寺」
「飯縄寺」は、雄大な太平洋の九十九里浜を結ぶ、国道128号線沿いの太東岬エリアにあります。慈覚大師開山と伝わり、江戸時代には上野寛永寺直轄となった天台宗の神仏習合の古刹。ご本尊は飯縄寺の由来となった飯縄大権現で、天狗の御姿です。
開山当時は「満蔵寺」と号し、太東岬灯台付近にあった御本尊を17世紀半ばに降ろした後、飯縄寺と改名。この地は1703年(元禄16年)の元禄地震による大津波の被害が甚大で、それを予見したかのごとく御本尊の被害を免れたため、ますます信仰が高まったとされています。現本堂は1797年(寛政9年)に再建されたもの。千葉県の有形文化財にも指定されています。
境内にある堂宇は、江戸時代のものばかりという歴史ある寺院において、特に有名なのが本堂の欄間にある「牛若丸と大天狗」の彫刻。江戸時代の彫刻師・武志伊八の最高傑作とされ、これを見るためだけでも訪れる価値がある、魂のこもった作品です。境内には他にも随所に天狗が見られ、別名「天狗の寺」と呼ばれます。
また、嵯峨天王直筆の大般若経や、関白大政大臣近衛信房の小倉山荘色紙の和歌といった歴史ある寺院ならではの貴重な所蔵品も見逃せません。
- 住所
- いすみ市岬町和泉2935-1
- 電話番号
- 0470-87-3534
- 営業時間
- 10:00~16:00
- 休業日
- 不定期・荒天時