小湊鉄道開業100周年記念展「古往今来・発車オーライ!」/市原湖畔美術館
小湊鉄道が開業100周年を記念し企画した美術展
市原市を代表する鉄道、小湊鉄道が2025年に開業100周年を迎えることをきっかけに、地域の宝である同鉄道のこれまでの歩みを振り返り未来へつなげることを目的に企画した美術展です。
1925年、沿線住民1000人が株主となって開業に至り、市原北部と南部をつなぐ交通の要として市原の発展と人々の生活を支えてきた小湊鉄道。昭和の香りを色濃く残した駅舎や車両は人気のスポットであり、多くの鉄道ファンや地域の人たちに愛されてきました。一方で、南部の過疎化に伴い、経営的な困難に直面しており、地域型芸術祭「いちはらアート×ミックス」でも小湊鉄道の活性化を目指したプロジェクトが展開されてきました。
そこで、アートによる地域づくりの拠点を目指す当館では、小湊鉄道の歴史や魅力をアートによって照らし出し、発信する展覧会「古往今来・発車オーライ!」を開催します。
【見どころ】
■4人の現代アーティストたちが光を当てる小湊鉄道の古往今来
1.モノと語りを通して、小湊鉄道をめぐる知られざる物語を体感する
“言葉”と“イメージ”の「ズレ」をテーマにしたユニークな作品で知られる中﨑透。小湊鐵道社員や地域住民のインタビューにもとづくインスタレーションを、美術館内と高滝駅から美術館までの道のりに展開。鉄道と交差するそれぞれの人生が紡がれていきます。
2.過去と未来をつなぐ鉄道鳥瞰図
工業用ミシンを使い刺繍というメディアの枠を拡張してきた青山悟。小湊鐵道の鳥瞰図からインスピレーションを受けた未来の鳥瞰図を市内の子どもたちと制作。
また、近代化を生きた小湊鐵道の100年の歴史に刻まれた「労働」を切り取った刺繡作品を展示します。
3.影と光で映し出す時空を超えた小湊鉄道の旅
デジタルとアナログの境界で創造の可能性を問い、光源をつけた鉄道模型を使用した光と影のインスタレーションで知られるクワクボリョウタは、100年前、現在、そして100年後の風景を現出し、無限(∞)のレールを走る小湊鉄道の時空を超えた旅を体感させる。
4.小湊鉄道を起点に交差する時空間
古今の書物を横断し題材とした創作を続ける中野裕介/パラモデルは、小湊鐵道の幻の路線計画や、房総由来の戯作『南総里見八犬伝』、高滝エリアの旧開発構想など、虚実の出来事を組み合わせ、工事用シートやプラレール、映像や音で遊ぶ大規模なインスタレーションを展開します。
■かこさとしが描いた絵本『小湊鐵道沿線の旅 出発進行!里山トロッコ列車』原画公開!
「里山の風景を守る」「自然との共存」という想いから始まった小湊鐵道のトロッコ列車。
日本を代表する絵本作家かこさとしさんがその想いに共感して描いた『小湊鐵道沿線の旅 出発進行!里山トロッコ列車』(偕成社)の原画約20点を展示。
工学博士でもあったかこさんが小湊鐵道の歴史、地理、自然を紹介しています。
■小湊鐵道大解剖!!過去と現在をつなぐ資料展示
小湊鉄道の備品や歴史的資料、鉄道写真から映像まで貴重な資料を一挙に公開。小湊鉄道ファンも初めて知る方も小湊鉄道の魅力を感じられる展示です。
(展示協力:市原歴史博物館、早稲田大学鉄道研究会)
【出展作家】
●中﨑 透(なかざき とおる)[1976年茨城県生まれ]
武蔵野美術大学大学院造形研究科博士後期課程満期単位取得退学。現在、茨城県水戸市を拠点に活動。
言葉やイメージといった共通認識の中に生じるズレをテーマに自然体でゆるやかな手法を使って、看板をモチーフとした作品をはじめ、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、形式を特定せず制作を展開している。
2006年末より「Nadegata Instant Party」を結成し、ユニットとしても活動。 2007年末より「遊戯室(中﨑透+遠藤水城)」を設立し、運営に携わる(-2021)。2011年よりプロジェクトFUKUSHIMA!に参加、主に美術部門のディレクションを担当。
近年の主な展覧会に個展「FICTION TRAVELAR」水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城)、「越後妻有 大地の芸術祭2024」(新潟)など。
令和4年度(第73回)芸術選奨新人賞(美術部門)受賞。
●青山 悟 (あおやま さとる)[1973年東京都生まれ]
ロンドン・ゴールドスミスカレッジのテキスタイル学科を1998年に卒業、2001年にシカゴ美術館附属美術大学で美術学修士号を取得。現在は東京を拠点に活動。
工業用ミシンを用い、近代化以降、変容し続ける人間性や労働の価値を問い続けながら、刺繍というメディアの枠を拡張させる作品を数々発表している。
近年の主な展覧会に2019年「Unfolding: Fabric of Our Life」(Center for Heritage Arts & Textile, 香港)、2020年「Re construction 再構築」(練馬区立美術館、東京)、2022-23年「ドリーム/ランド」(神奈川県民ホールギャラリー)、2023年「ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」(森美術館)、2024年個展「青山悟 刺繍少年フォーエバー」(目黒区美術館)など。
パブリックコレクションに森美術館(東京)、京都国立近代美術館、高松市美術館(香川)、練馬区立美術館(東京)、愛知県美術館、東京都現代美術館がある。
令和6年度(第75回)芸術選奨新人賞(美術部門)受賞。
●クワクボリョウタ[1971年栃木県生まれ]
岐阜県・東京都在住。1998年より電子デバイスを素材とした作品制作を始め、2010年以降は光と影によって観る人自身が内面で体験を紡ぎ出すような作品づくりを行う。情報科学芸術大学院大学[IAMAS](岐阜県大垣市)教授。
最近の主な展覧会に2023年「房総の海をめぐる光と影とアート展」(千葉県立美術館)、2024年「南飛騨アートディスカバリー」(岐阜)など数々の芸術祭へ出展。市原湖畔美術館に恒久作品《Lost Windows》がある。
●中野裕介/パラモデル[1976年東大阪生まれ]
2002年 京都市立芸術大学大学院 絵画専攻(日本画) 修了。2001年 同大学の林泰彦と活動開始、2003年 ユニット名を「パラモデル」に。メタフィジカルな「模型遊び」をテーマに多様な作品を発表。
2011~17年の図書館勤務を経た現在のソロ活動では、描画やテキスト・空間表現を軸に、文学・哲学・マンガ・建築・郷土文化・古典芸能など、古今の書物を横断し、題材とする創作を続ける。
単著に『まちがeる読み、iかれた挿し絵』(青幻舎 21年)など。京都精華大学芸術学部教授。
近年の個展に2024年「□とか△、できかけのPの話」(京都髙島屋S.C.百貨店)、「よろぼう少年、かなたの道をゆく▷▷▷《俊徳丸伝説》であそぶ」(東大阪市民美術センター)、2022年「かなたをよむ:海と空のあいだのP」(不知火美術館・図書館/熊本)、2021年「まTiGerる読み、いかReた挿し絵」(高松市美術館/香川)など。
●かこ さとし[1926年福井県生まれ(-2018)]
東京大学工学部応用化学科卒業。工学博士。技術士(化学)。
児童文化の研究者でもある。出版を中心に幅広く活躍。作品は『からすのパンやさん』を代表する「かこさとしおはなしのほん」シリーズ、『うつくしい絵』、「だるまちゃん」シリーズ、『とこちゃんはどこ』、「かこさとしからだの本」シリーズ、『伝承遊び考』など600点余。2008年菊池寛賞受賞、 2009年日本化学会より特別功労賞を受賞。
【小湊鉄道】
小湊鉄道は、房総の玄関口・千葉県市原市五井駅から内陸部の上総中野駅までの39.1kmを縦断するローカル鉄道です。沿線には高滝湖、チバニアン、養老渓谷等の観光スポットもあります。
小湊鐵道株式会社は1917年、地元有志によって設立され、現在は路線バス・高速バス・タクシー・ゴルフ場やカフェ等も展開、創業当時から受け継がれる「近くの人を喜ばせたい」という心を次の100年に繋げるため、沿線の方々との交流や里山保全等、地域活性化にも取り組んでいます。
- カテゴリー
- 音楽・アート・展示・ショー
基本情報
- 開催期間
- 2025年4月26日(土)~2025年9月15日(月祝)
- 開催場所
- 市原湖畔美術館
- 住所
- 〒290-0554 千葉県市原市不入75-1
- 電話番号
- 0436-98-1525(市原湖畔美術館)
- 営業時間
- 平日 10:00~17:00
土・休前日 9:30~19:00
日・休日 9:30~18:00
※最終入館は、閉館時間の30分前まで - 定休日
- 月曜日(休日の場合は、翌平日)年末年始、メンテナンス休館
- 料金
- 企画展:一般:1000( 800 )円 / 大高生・65 歳以上:800( 600 )円
常設展:企画展のチケットで、同日に限り、常設展示もご覧いただけます。
*()内は 20 名以上の団体料金。
*中学生以下無料・障がい者手帳をお持ちの方(または障害者手帳アプリ「ミライロID 」提示)とその介添者(1 名)は無料 - アクセス(車)
- 圏央道 市原鶴舞ICから約5分
- アクセス(鉄道)
- 小湊鉄道 高滝駅から徒歩約20分
- アクセス(その他)
- 高速バス「市原鶴舞バスターミナル」からタクシーで約5分(バスターミナル東京八重洲/横浜駅/羽田空港 発着)
- 駐車場(乗用車/台数)
- 77台
- 駐車場(大型バス/台数)
- 2台
- 駐車場(有料/無料)
- 無料
- 関連資料
- 関連リンク
※施設情報が変更される場合があります。最新情報は各公式サイト等をご確認ください。