第二海堡とは? 「東の軍艦島」とも呼ばれる歴史的な人工島をツアーで巡りました
東京湾の真ん中に、巨大な人工要塞が浮かんでいることをご存じですか?
東の軍艦島とも呼ばれるその島の名前は「第二海堡(だいにかいほう)」。
かつて、外国の艦船から首都を防衛するために作られた「東京湾要塞」のひとつです。
その性質上、長らく関係者以外の立ち入りが禁止されていましたが、ついに一般向けのツアーが実現!
この記事では、そんな第二海堡の歴史や見どころ、ツアーの行程まで、余すことなくご紹介していきます。
写真提供:関東地方整備局東京湾口航路事務所/トライアングル
1.第二海堡ってどんなところ?
提供:関東地方整備局東京湾口航路事務所
第二海堡とは、明治~大正時代にかけて首都の防衛を目的として作られた、巨大な要塞島。
日本で初めての海上土木工事によって建てられた人工島要塞と言われています。
島内には、実際にカノン砲や防空指揮所といった軍事設備も設置されていましたが、第二次世界大戦での降伏とともに連合軍によって処分されています。第二海堡の要塞としての役目は、このときに終わりを迎えましたが、2019年の一般ツアー解禁をきっかけに、当時の面影が残る軍事遺構として、多くの見学客が訪れる人気の観光スポットになりました。
Column
第一海堡もある?
「第二海堡」という名前を聞くと「第一海堡もあるのかな?」と気になりますよね。現在は、島に立ち入ることは禁止されていますが、第二海堡に向かう途中で、その姿を横目に眺めることができますよ。
Column
第三海堡は今はない?
実は元々、第三海堡までありましたが、こちらは現存していません。
関東大震災や波浪などによって崩壊が進み、海難事故の原因となっていたため、2007年(平成19年)に撤去されています。
この遺構の一部は、横須賀市内の公園に移され、今も大切に保存されているので、興味がある方は是非訪ねてみてください。
2.第二海堡はどのようにして建てられた?
現代の技術であれば、海上に人工島を作ることはそれほど難しいことではありません。
しかし、当時の技術レベルにおいては、壮大なプロジェクトでした。
外国人からは「日本人は、一体何を考えているんだ?」と笑われてしまうほど、途方もないことだったそうです。
実際のところ、基礎工事にあたっては「伊豆方面から集めてきた石を船で運び、水深10m以上の海底に1つずつ投げ入れる」という気が遠くなるような手段が用いられました。
このような地道な作業を、25年の歳月と計50万人以上の動員を以って行い、ようやく第二海堡は完成に至ったのです。
Column
なぜこの場所に建てられた?
提供:関東地方整備局東京湾口航路事務所
上記のような多大な労力をかけてまで、どうしてこの場所に海堡を作る必要があったのでしょうか?
その答えは、この場所が外国の艦船から首都を守るための国防の要であったからです。
第一~第三海堡は、千葉県富津市と神奈川県横須賀市の間にある最も狭い地帯にありますが、その距離は約7km。
一方、当時の大砲の射程は約3kmであり、これら一帯を射程に入れるために海堡が必要だったのです。
3.完成後の第二海堡
ついに完成した第二海堡。しかし、長い年月が経過する間に、射程の延伸や飛行機の登場といった技術の進歩が起こったことで、軍事拠点としての価値はそれほど高くはなかったと言われています。
その証拠に完成から9年後、関東大震災(1923年)によって被害を受けた際には修繕を行わず、陸軍の砲台から除籍となりました。
その後、しばらくは利用されませんでしたが、第二次世界大戦の頃には、立地に目を付けた大日本帝国海軍によって借用されていました。そして、第二次世界大戦が終戦した際に、連合国によって接収されることとなり、軍事要塞としての役割を終えることになります。
Column
戦後の第二海堡
戦後しばらくすると、この地の有効活用が考えられるようになり、現在では気象海象等の観測としても活用されるようになりました。
安全性の理由から、一般人の立ち入りも長らく禁止になっていましたが、2019年についに上陸ツアーが解禁!
4.上陸ツアーがついに解禁!
ここからは、現在第二海堡で行われている上陸ツアーに同行した際の流れを時系列順にレポートします。(ツアーの所要時間:約2時間)
- ①集合場所に向かうまで
- 富津港の入り口には、「関係者以外進入禁止」と記載されていますが、ツアー参加者は入ってOK!
- ②集合場所=富津港(12時半)
- 駐車スペースは広々なので安心。
- ③受付
- ツアー参加誓約書に記入。
第二海堡と周辺エリアのパンフレットが貰えました。
- ④港からの景色
- 海を挟んで工場が見られるので、出発時刻まで撮影に勤しむのもおすすめ。
- ⑤トイレ情報
- 港・第二海堡にはトイレがなく、船にも1室だけなので、心配な方は事前に富津みなと公園の公衆トイレを利用しましょう。(写真左側の建物)
- ⑥船が入港
- 100人以上のキャパシティがありますが、ツアー参加は最大でも50名までで余裕があります。
- ⑦座席
- デッキに椅子が取り付けられています。
船内には一部ソファ席もありました。
景色を重視したい方は、遮蔽物がない前方がおすすめ。
- ⑧富津港を出発(13時頃)
- 第二海堡までの道のりは約30分。
港から離れる際も振り返ると撮影ポイント♪
- ⑨船内ガイド
- 道中の見どころを解説してくれます。
タイミングによっては、珍しいものが見られる可能性も!
- ⑩第二海堡に到着!(13時半頃)
- 島内は、約1時間程度見学可能。
- ⑪グループ行動を厳守
- 島内では、ガイドさんの指示・誘導に従ってお楽しみください。
- ⑫島内ガイド
- ガイドさんの工夫を凝らした解説も、このツアーの醍醐味の1つです。
ツアー情報
今回は、NEXCO東日本「
それ以外にも、各社で様々な上陸ツアーが企画されているので、詳細についてはリンク先からご覧ください。
5.第二海堡の見どころ5選!
たくさんの見どころがある第二海堡ですが、特におすすめのスポットを抜粋してご紹介します。
- 第二海堡灯台
- 高さ12m、約24km先の海まで光を届けてくれる第二海堡のシンボル的な存在!周りに遮蔽物はないので、どの角度から撮っても美しい1枚が撮影できます。
見学機会が希少なため、灯台マニアからは、なかなか見ることができない「幻の灯台」と目されているのだとか。
- 中央砲塔・防防空指揮所
- 第二海堡の中央に位置する27センチカノン砲砲塔砲台の跡地。
上部に建設されたレンガ構造物=防空指揮所から、見張りや軍全体の指揮が行われていたと考えられています。
撮影スポットとしても人気が高く、松田優作主演「蘇る金狼」の名シーンを再現できます。
- 掩蔽壕(えんぺいごう)
- 掩蔽壕とは、敵の攻撃から軍の物資や兵士の身の安全を守るために作られた防空壕のような構造物を指します。
アーチ状の入り口が特徴で、中には広い空間が広がっています。
※安全対策のため、中に入ることはできません。
- 桜マークの刻印レンガ
- レンガをよく観察してみると、どれも「桜」が刻まれていることに気付きます。
明治期のレンガは、刻印によって製造された場所が分かるようになっていて、桜は「小菅集治監(=現東京拘置所)」で作られたものであるという証です。
通常は刻印が見えることはなく、建物が崩れている第二海堡ならではの見どころです。
- 海上ウォッチング
- 東京湾は、”海のハイウェイ“と呼ばれることもあるほど物流が多く、世界でも有数の海上交通が過密な海域です。
第二海堡に向かう途中や海堡からも、タンカー船やコンテナ船がたびたび見られ、運が良ければイージス艦が見られることもあるのだとか。
6.公式プロモーション動画
7.富津港(集合場所)までのアクセス
※富津港は、関係者以外立ち入り禁止となっています。ツアー参加者以外は、進入することができません。
〇お車でお越しの場合
館山道 木更津南支線終点から国道16号経由で約 10 ㎞
〇公共交通機関でお越しの場合
内房線青堀駅より、日東交通バスで大乗寺前バス停を下車、徒歩約 20 分~30 分 (青堀駅よりタクシーで、約 10 分)
- 富津港
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8.周辺のおすすめご当地グルメ/ご当地弁当
せっかく富津を訪れたのなら、ぜひ食べていただきたいご当地グルメ/ご当地弁当をご紹介します!
- はかりめ丼
- 「はかりめ」とは、棒はかりの目盛りのことで、富津で漁獲量が多かった穴子の模様と似ていることから名づけられました。
現在も富津港周辺では、たくさんのお店ではかりめ丼が提供されているので、この機会にぜひご賞味ください。 - 海鮮丼・ご当地丼特集
- チャー弁
- チャー弁とは、「としまや弁当(株式会社としまや商事)」の看板メニューである「チャーシュー弁当」のこと。甘辛い秘伝のタレを使用した、まさにやみつきになる味で、ボリュームもたっぷり。続く、パー弁とあわせて、周辺地域で絶大な人気を誇っています。
※隣接する木更津市のご当地弁当です。 - 駅弁・ご当地弁当特集
- バー弁
- バー弁とは、「吟米亭 浜屋」で販売されている「バーベキュー弁当」のこと。創業の頃から注ぎ足されてきた「秘伝のタレ」が奥深い味わいで、チャー弁とともに全国メディアでも度々注目を集めています。
※隣接する木更津市のご当地弁当です。 - 駅弁・ご当地弁当特集
9.周辺のおすすめスポット
第二海堡ツアーの所要時間は、2時間程度となっているので、ぜひ周辺の観光スポットにも訪れてみてください。
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