三代目の南極観測船 SHIRASE5002 徹底解剖! 船内見学ツアー体験記
千葉県船橋港に係留されている「SHIRASE5002」は、なんと「しらせ」として活躍した本物の南極観測船! 普段は入ることができない船内を見学できるツアーが大人気です。「南極観測船って何?」「どうして千葉に南極観測船がいるの?」そんな疑問を解決しながら、実際に参加した見学ツアーの様子をたっぷりお届け。貴重な展示物や、南極観測隊員の生活、ここでしか買えない限定グッズまで、SHIRASE5002の魅力を余すところなくご紹介します。この記事を読めば、あなたも南極観測のロマンと、SHIRASE5002の迫力を体感できること間違いなし! 大人から子供まで楽しめる、学びと感動の体験へ出かけましょう!


南極観測船とは?
南極観測船とは、南極地域における科学的な調査を目的とした観測隊員や物資の輸送、そして観測の支援を行うための特別な船です。砕氷能力を持ち、厚い氷に閉ざされた海域を進むことができる、非常にタフな船なのです。
日本における南極観測の歴史は、1956年(昭和31年)の第一次南極地域観測隊派遣に始まります。初代「宗谷」、二代目「ふじ」に続き、三代目「しらせ(SHIRASE5002の前身)」は1983年(昭和58年)から2008年(平成20年)まで、25年間にわたり活躍しました。
「しらせ」の功績は数多く、総航海日数はこれまでの南極観測船の中で最も長い3,879日! さらに2002年(平成14年)には、座礁したオーストラリアの砕氷船「オーロラ・オーストラリス」の乗組員55名を救助するという、国際的な活躍も見せました。その勇敢な姿は、多くの人々に感動を与えました。
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南極観測船の進み方
南極観測船は、ただの船ではありません。厚い氷をどのようにして割って進むのでしょうか? 氷厚が約1.5mまでの氷は、強力な推進力と分厚い船底で氷を砕きながら前進します。さらに分厚い氷が進路を阻んた際には、一旦数百メートル後退した後、最大馬力で前進! 勢いよく氷に体当たりし、その衝撃で氷を砕く、チャージング(ラミング)というダイナミックな方法が採用されました。
SHIRASE5002は、現役時代、南極海でなんと36,650回ものチャージングを行ったという記録が残っています。想像を絶する回数ですね! 実際に船体を見学すると、その凄さがより実感できるはずです。

なぜ千葉にやってきたの? しらせ から SHIRASE へ 第二の船出
2008年(平成20年)に現役を引退した「しらせ」ですが、老朽化を理由に解体されることが決まっていました。しかし、その貴重な船体を後世に残したいと願う声が多数寄せられ、「しらせ」の一般公募が開始。これに応募し、見事その権利を落札したのが、千葉県に本社を置く民間気象会社「ウェザーニューズ」だったのです。
同社の創業者である石橋博良氏は、「地球環境問題を全世界に情報発信する基地として活用したい」という熱い思いを持っていました。そして、「しらせ」は「SHIRASE」と名前を変え、新たな役割を担うことになったのです。
SHIRASE5002は、現在、気象観測装置や環境情報の発信拠点として活用されています。また、一般の人々も船内見学ツアーに参加することができ、南極観測の歴史や地球環境について学ぶことができる貴重な機会を提供しています。
見学ツアー体験レポート
「本物の南極観測船に乗れる!」そんなワクワクを胸に、SHIRASE5002の見学ツアーに参加してきました!
見学受付は、なんとヘリコプター格納庫!いきなりのスケール感に、テンションが上がります。船内には、受付案内からトイレ、売店まですべて揃っています。まずは船内で、スライドショーを見ながら南極観測船についてのレクチャーからスタート。この部屋も観測隊員が会議などで実際に使用していた部屋です。注目すべきは、私たちが座っている椅子や机。よく見ると、椅子にはチェーンがついていて、船が揺れたときに動かないようになっていたり、細部まで、本物の雰囲気が漂っています。
解説をしてくれるガイドスタッフは、元自衛官で、実際に「しらせ」の乗組員だった方もいます! 体験談を交えながら、南極観測の裏側や、船内での生活について、詳しく教えてくれます。船内の設備は、現役当時のまま保管されており、まるで時間が止まっているかのよう。リアルな臨場感を味わえます。
見学ツアーには、いくつかのコースがあります。
プレミアムコース: ガイド付きで、船内の隅々までじっくり見学できる、充実のコース(木・金に開催)。
ベーシックコース: 自分のペースで自由に見学できるコース(土・日に開催)。
団体コース: 10名以上のグループ向けのコース。
いずれも事前要予約制です。
SHIRASE5002の見どころ
早速、ガイド付きプレミアムコースに参加!SHIRASE5002の見どころを、余すところなくご紹介します。
- 食堂・調理室
- 隊員たちの憩いの場である食堂。ここで、まず驚かされるのがテーブルの工夫です。よく見ると、テーブルの縁にエッジがつけられており、船が動揺した時に食器が滑り落ちないようになっているのです! 細かなところまで、航海のための工夫が凝らされています。食事は、隊員たちの楽しみの一つ。美味しい食事が、過酷な任務の支えとなっていたのでしょう。
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- 医務室
- 「しらせ」には、医師も乗船していました。医務室には、なんと手術室も完備! 万が一の事態に備え、本格的な医療設備が整えられています。実際に盲腸の手術なども行われたそう。極寒の地で、隊員たちの健康を守る、重要な役割を担っていたのですね。
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- 理髪室
- 長期にわたる航海では、散髪も必要になります。「しらせ」には、なんと理髪室までありました! しかし、理髪師さんは乗船していなかったそうです。では、どうしていたのかというと…一部の隊員が乗船前に訓練を受けていたとのこと! ただし、揺れる船内でバリカンを使うと、髪が虎模様になってしまうことも…。そのため、「タイガーカット」と呼ばれていたそうです。
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- さまざまな展示物
- 船内には、実際に南極で行われていた観測機器や、隊員たちが着用していた防寒着などが展示されており、極寒の地での観測の様子を、間近で感じることができます。また、南極の昭和基地は、住宅メーカーのミサワホームが担当! 南極の厳しい環境(寒さ、風)にも耐えられる技術は、将来、宇宙での居住空間の研究開発にも役立てられているそうです。
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- 飛行甲板
- いよいよ、飛行甲板へ! ヘリコプターが離発着する場所は、想像以上の広さです! 氷に閉ざされた南極海域では、接岸するまでに時間がかかるため、先行してヘリコプターで一部物資を昭和基地に届けていたんですね。管制塔もありますが、南極には他の航空機が飛んでいないため、ほとんど使われることはなかったそうです。
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- 艦橋(ブリッジ)
- 急な階段を登り切り、一番高いところにあるのが艦橋(ブリッジ)です。艦橋からの景色は、まさに圧巻! 天気が良い日には、スカイツリーや富士山が見えることもあり、絶好のシャッターチャンスです。ずらりと並ぶ操舵機器は、メカ好きにはたまりません! チャージングを行うための機器も、ここにあります。「しらせ」の動力は、ディーゼル発電によるモーター駆動。前進後進を連続して何度も行う必要があるため、モーター駆動でなければ対応できないそうです。
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- 南極から持ち帰ってきたもの
- SHIRASE5002では、実際に南極から持ち帰られた貴重な氷に触れることができます!毎年、南極から新たに届けられる氷は、数万年前の空気を閉じ込めた、まさに地球のタイムカプセル。悠久の時に思いを馳せる、またとない機会をぜひお見逃しなく。
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- お土産コーナー
- 見学ツアーの最後は、お土産コーナーへ! SHIRASE5002ならではのオリジナルグッズが、たくさん揃っています。隣には小さなカフェも併設されているので、見学の余韻に浸りながら、ゆったりと過ごすことができます。
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南極観測の裏側:知られざる隊員の生活
南極観測隊員は、どのようにして南極へ向かうのでしょうか?
南極観測船は、毎年11月頃に日本を出発し、オーストラリアを経由して南極へ向かいます。南極への航海は約2~3週間。昭和基地での活動後、2月頃に南極を出発し、4月頃に日本へ帰港します。
実は、観測隊員は経由地であるオーストラリアから「しらせ」に乗船しており、海上自衛隊の乗組員が、日本から「しらせ」を運行していたのです。
長期間の航海となるため、食料の確保は重要な課題です。特に、生鮮食品は時間と共に劣化してしまうため、様々な工夫が凝らされていました。
特に栄養価が高いもやしは、隊員の健康を維持するために欠かせない食材でした。しかし、もやしは足が速く、保存が難しいという難点があります。そこで、「しらせ」には専用のもやし製造機が搭載され、船内で新鮮なもやしが栽培されていました。
観測隊員と乗組員(自衛隊員)では、船内生活も異なっていました。観測隊員の部屋の方が広く、トイレも付いていたそうです。観測隊員は研究者が多かったため、待遇にも差があったのですね。
それでも「しらせ」乗船任務は非常に人気が高く、自衛隊員の中でも選ばれた者だけの特権でした。南極に行けば、ペンギンにも会える! 皆、希望に満ち溢れていたのでしょう。
「しらせ」には、氷の上に乗り上げる構造上、水中で船のバランスをとる安定板がついていません。そのため、とにかく揺れがひどかったそうです。艦橋には動揺計があり、なんと左に53度、右に41度という、信じられない記録が残っています! 転覆しないのが不思議なくらい。もちろん、船内で立っていられることはほぼ不可能。そのため、体を支えるための手すりが、いたるところに設置されています。
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南極観測隊の食事って?
極寒の地で活動する南極観測隊にとって、食事は非常に重要な要素です。寒い環境下では、体温を維持するために多くのエネルギーが必要となるため、1日の摂取カロリーはなんと4500kcal! これは、成人男性の平均摂取カロリーの約2倍です。
各国の観測隊の中でも、日本の食事は最も豪華だったと言われています。専属の調理隊員が、栄養バランスはもちろん、隊員たちの楽しみとなるよう、味や見た目にも工夫を凝らしていました。お正月には、なんとおせち料理も振舞われたそうです! 故郷を離れて長期間過ごす隊員たちにとって、日本の味は格別だったことでしょう。

船内限定オリジナルグッズも!お土産情報
SHIRASE5002の見学の記念に、ぜひ手に入れたいのがオリジナルグッズ! 船内の売店では、ここでしか買えない限定品をはじめ、様々なアイテムが販売されています。オンラインショップもありますが、一部商品は船内限定なので要チェック!
- 切願札
- 「しらせ」の搭載していたベッドの部材と係留ロープを用いて制作された、特別な「切願札」。SHIRASE5002は、南極渡航回数25回のうち、なんと24回も接岸に成功している、非常に優秀な船です。その実績にあやかり、難局(南極)を乗り越えるお守りとして、ぜひ手に入れたい一品です。困難に立ち向かう勇気を与えてくれる、心強いお守りとなるでしょう。
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- 御船印
- 御朱印の船バージョン、「御船印」も人気です!SHIRASE5002では、ここでしか手に入らないオリジナルの御船印を販売しています。全国には様々な種類の船が御船印を発行しており、コレクションする楽しさも魅力の一つです。乗船記念としてはもちろん、旅の思い出を形に残す、素敵なコレクションアイテムとなるでしょう。
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- オリジナルキャップ
- 乗船記念といえば、キャップは外せません! SHIRASE5002は、元海上自衛隊所属の船ということもあり、デザインもクールです。普段使いしやすいシンプルなデザインから、SHIRASE5002のロゴが大きく入ったものまで、種類も豊富。お気に入りの一品を見つけて、南極観測のロマンを感じてください!
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周辺のおすすめスポット情報
SHIRASE5002の見学と合わせて訪れたい、周辺のおすすめスポットをご紹介! 東京湾を挟んで富士山を望む絶景スポットや、海の生き物と触れ合える施設など、家族連れやデートでも楽しめる魅力的な場所がたくさんあります。アクセスも良く、日帰り旅行にぴったり!
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予約方法・アクセス情報
【予約方法】
SHIRASE5002の見学は、インターネットでの事前予約が必要です。
・プレミアムコース: ガイド付きでじっくり見学したい方におすすめ(木・金に開催)。
・ベーシックコース: 自分のペースで見学したい方におすすめ(土・日に開催)。
・団体コース: 10名以上のグループで見学したい場合は、事前に相談が必要です。
予約サイトから、希望のコースと日時を選択して予約してください。空き状況も確認できます。
【アクセス情報】
■公共交通機関利用
JR京葉線「新習志野駅」下車、タクシーで約10分。
JR総武線「津田沼駅」 京成本線「津田沼駅」下車、タクシーで約20分
■車利用
東関東自動車道「湾岸千葉インター(上り)」より約8km(時間:約10分)
東関東自動車道「谷津船橋インター」(下り)より約5km(時間:約5分)
京葉道路「花輪インター」より約4km(時間:約10分)
カーナビを設定する場合は、「サッポロビール千葉ビール園」と入力すると、近くまで表示されます。ビール園の駐車場には入らず、そのまま岸壁(海側)へ直進してください。「関係者以外立入禁止」の看板がありますが、警備員BOX前で一時停止し、予約メールを提示すると、駐車場へ案内してくれます。
予約特典として、サッポロビール千葉ビール向上でお食事頂くと10%OFFになります。飲酒後の乗船はできないので、ぜひ見学後に立ち寄ってみてください。
■注意事項
場内は、港湾関係者の車が出入りする場所です。必ず指定の駐車場に停めてから、写真撮影などを楽しんでください。
船内(屋内)見学がメインですが、甲板上も見学します。海に浮かぶ船なので強風や台風通過時には見学を中止することがあります。事前に公式サイトでチェックしましょう。
船内には急な階段や段差があります。
船内の設備は現役時代の頃の状態をとどめているので、急な階段や狭い通路が至るところにあります。
動きやすい服装と靴で見学しましょう。
足腰の弱い方やお体の不自由な方向けに、SHIRASEのヴァーチャルツアーサイトも設けていますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ:SHIRASE5002で、学びと感動の体験を!
SHIRASE5002は、南極観測の歴史や、地球環境について学ぶことができる、貴重な施設です。実際に活躍した南極観測船の中を探検できる、ワクワクする体験は、子供から大人まで、誰もが楽しめること間違いなし! 元乗組員の方々のお話は、臨場感たっぷりで、まるで自分が南極にいるかのような気分を味わえます。
周辺には、大型ショッピング施設や公園などもあり、日帰りのおでかけにぴったり! ぜひ、家族や友人と一緒に訪れて、SHIRASE5002でしか味わえない、学びと感動の体験をしてください。千葉で、こんなにリアルな南極体験ができるなんて、驚きですよね! きっと、忘れられない思い出になるはずです。