ローカル鉄道&バスに乗って、自分だけの「エモい」を撮りに行こう!
「心動かされる素敵な写真を撮りたい」と思ったら、養老渓谷へ行ってみませんか? 都心から2時間ほどで行ける、自然豊かな絶景スポットです。昭和を感じるレトロな乗り物も写真映え必至!撮った写真を見比べたり、お互いに撮影し合ったりしながら楽しめる1泊2日のコースをご紹介します。
【1日目】
レトロなカラーがかわいいローカル線
小湊鐡道
シャッターチャンスは、養老渓谷に向かう旅路から。JR内房線と接続する五井駅と、房総半島の中央にある上総中野駅を結ぶ「小湊鐵道」です。主力車両である「キハ200形」は、ファイアーオレンジとモーンアイボリーのカラーリングがなんともレトロ。里山の風景を走る2両編成の車両は模型のようにかわいらしく、撮り鉄ならずとも思わずカメラを向けたくなります。
五井駅に早めに到着し、発車前の車両を外から撮りましょう。窓枠やライトなど、ディテールのデザインも見逃せません。ホームでの撮影の際には周囲に十分ご注意を。
車両に乗り込むと、ディーゼル車独特の軽油の香りがほんのりと漂います。一般的な電車とは異なる細かい振動も小湊鐵道ならでは。昔懐かしいつり革や天井の扇風機にも昭和を感じられます。
どこを撮っても絵になる木造駅舎
養老渓谷駅
小湊鐵道に揺られて1時間10分乗車すると、養老渓谷エリアの入口である「養老渓谷駅」に到着。ホームに近づくと、レンガ色の三角屋根が見えてきます。待合室と事務所からなる平屋の駅舎は昭和3年頃に建築されたもので、国の登録有形文化財に登録されています。
手書き風の駅名標、味のある切符売り場の窓口など、そこかしこに駅と鉄道の歴史が刻まれ、まるで昭和にタイムスリップしたかのよう。モノクロやセピアモードで撮れば、よりレトロな雰囲気を表現できます。かわいいデザインのオリジナルグッズも販売されているので要チェックです。
駅舎を出たら、ぜひ後ろを振り返ってみてください。旧字で書かれた「養老渓谷驛」という味のある看板も撮りどころです。
養老渓谷駅
住所 千葉県市原市朝生原177
「かわいい!」と「おいしい!」に出会えるカフェ
サトモノ屋
中心部に出発する前に、養老渓谷駅から徒歩1分の場所にある「サトモノ屋」で腹ごしらえしましょう。こちらはヨガ講師の店主が営む「里に出会えるカフェ」。古民家をリノベーションした店内には、近隣の林から運ばれた切株をそのまま使ったテーブルや、改装前から残されていた家具など、このエリアに古くから息づく品々がレイアウトされています。アンティークな魅力を宿すインテリアの数々は、主役にも背景にもなる魅力的な被写体です。
看板メニューは、「村ごとはさんだ玄米サンドウィッチ」。近隣の農家から届いたオーガニックな野菜や卵を使っています。時には物々交換で食材を仕入れることもあるのだとか。食材は日替わりなので、まさに旬を味わえます。すべてテイクアウトできるので、食べ歩きもOK。彩り豊かなフードもしっかり撮ってくださいね。
養老渓谷に自生する日本生まれのハーブ「クロモジ」を使ったハーブティーや、地域住民がプロデュースする小物など、「里のモノ」を集めたセレクトブースも併設。住む人、来る人どちらにも開かれた自由な空間に、人もモノも自然に集まってくるといいます。偶然の出会いがあったら、ぜひ養老渓谷の魅力を聞いてみましょう。
サトモノ屋
住所 千葉県市原市朝生原848
営業時間 平日・土曜 11:00〜17:00/日曜 10:00〜17:00
定休日 インスタグラムにて発信
温泉に浸かりながらバスを待つ、贅沢な時間
養老渓谷駅 足湯
ここからは、養老渓谷駅から小湊バスに乗ってエリアの中心部へ。バスが来るまでの間、駅の脇にある足湯で温まりましょう。「駅で温泉を楽しむ」という珍しい体験ができます。
大正3年に井戸から湧出したというこちらの黒湯は、コーヒーのような茶褐色をしています。じんわりと温かいお湯に足を浸せば、底についた足が見えるか見えないかくらい。とろみのある肌ざわりで、香りは強くありません。
正面には駅舎越しに養老渓谷の豊かな自然が広がり、足湯とはいえ露天風呂のような趣き。里山の風景をバックに足湯に浸かる姿を、お互いに撮影してみてはいかがでしょうか。駅とは思えない静けさもあいまって、心なしか時間の流れがゆったりと感じられる空間です。駅の売店で小湊鐵道の名入れタオル(300円)が販売されているので、手ぶらでも利用できます。
養老渓谷駅 足湯
住所 千葉県市原市朝生原177
TEL 0436-21-6771
営業時間 平日 12:00~16:00/土日・祝日 11:00~17:00
料金 大人140円/小人70円(小湊鐵道の乗車券をお持ちの方は無料)
駐車場 500円
車窓の風景もシャッターチャンス!
小湊鐵道バス
次の目的地までは、養老渓谷駅前からバスに乗って移動してみましょう。こちらもオレンジとベージュの優しいカラーが特徴のレトロな車両です。
窓が大きめに作られているので、座席から外の景色を眺められます。途中で差し掛かる踏切と単線の線路など、車窓ごしに撮りたくなる風景に出会えるかもしれません。
運賃は現金払いのみですが、養老渓谷駅~粟又・ごりやくの湯の間は1日利用券がデジタルチケットで販売されています。終点まで往復すると960円になるので、デジタルチケットがおすすめです。乗り場のQRコードからサイトにアクセスして、その場で購入できます。
小湊鐵道バス
料金 700円(デジタルチケット)
朱塗りの太鼓橋を渡って開運祈願
観音橋・出世観音立國寺
「温泉郷入口」でバスを降りると、右手に赤い橋が見えてきます。養老川に架かるこちらの橋は、渡った先に「出世観音」があることから「観音橋」と名付けられています。弧を描く太鼓橋が二重になっていて、優美な印象です。勾配はゆるやかに見えますが、渡ってみると思いのほか角度がついています。
鮮やかな朱色が背景の緑に映える橋は、絶好の撮影スポット。欄干に手を添えたり川を眺めたりとポーズを変えながら、道路側から引きのアングルで撮ってみると、自然の中のポートレートが撮影できます。
橋を渡った先にある「立國寺」にもぜひ立ち寄ってみましょう。こちらは平安末期、源頼朝公が挙兵の折に観音像を奉納して戦勝祈願し、関東平定を成し遂げたという由来があり、「祈祷の名刹」として知られています。開運招福、立身出世のご利益があると言われる霊験あらたかなお寺です。参道は階段が続くやや険しい道のりなので、履き慣れたスニーカーで行くことをおすすめします。
観音橋・出世観音立國寺
住所 千葉県市原市戸面401
TEL 0436-96-0097
緑色に輝く不思議な二階建てトンネル
向山・共栄トンネル
県道81号線から、温泉旅館「川の家」を目印に養老川方向へ少し入ったところに、「向山・共栄トンネル」があります。一見すると何の変哲もないトンネルのようですが、実は全国的にも珍しい二層構造のトンネルなんです。
入っていくと、正面に窓のような穴が現れます。これはもともと使われていたトンネルの名残。接続する道路との関係でトンネルの途中から下の出口が新たに掘られましたが、元のトンネルを埋め戻さずに残したため2つの出口が上下に重なり、ひょうたんのようなシルエットの二階建てトンネルになったそうです。全長125mのうち、東側から91mが「向山トンネル」、西側から34mが「共栄トンネル」と別の名前が付けられているのもユニークです。
トンネル内部をスマートフォンのカメラを通して撮影すると、不思議と鮮やかな緑色に写るトンネルです。素掘りで壁に凹凸があるため、光によって影が浮かび上がり幻想的な光景に。養老渓谷を訪れたら必ず写真に収めたいスポットです。一般車両も通行するので、撮影の際は注意してください。
向山・共栄トンネル
住所 千葉県大多喜町葛藤932
【2日目】
悠久の時間と先人たちの工夫が作った絶景
弘文洞跡
房総半島では古くから川の流れを人工的に短縮する「川廻し」と呼ばれる工事が行われてきました。養老渓谷エリアに滝や隧道(ずいどう)が多いのはこのため。砂と泥が交互に重なった地層のため風や水流によって岩肌が削られやすく、ユニークな景観を創り出しています。
「弘文洞跡」も、そうした自然の力と人々の知恵によって生まれた場所。もともとは明治期に川廻しによってできた隧道でしたが、1979年5月24日未明にアーチ部分が突如崩落し、現在のような谷状の地形になったそうです。
風景は一変しましたが、今でも左右の岩壁が背景を切り取り、他では見られない圧倒的な絶景を描いています。訪れる時間によって日の入り方が変わるので、午前と午後で立ち寄ってみるのもよいかもしれません。
弘文洞跡
住所 千葉県大多喜町葛藤付近
時が止まったような空間で、あの頃の思い出がよみがえる
MUJI BASE OIKAWA
続いての撮影スポットは「MUJI BASE OIKAWA」。こちらは2013年に閉校した「旧老川小学校」をリノベーションし、2024年10月にオープンした複合施設です。売店やコワーキングスペース、コインランドリーなど、地域の住民がいつでも自由に使える施設が揃っています。
閉校前の2000年に行われた改装工事の段階から、小学校としての役割を終えた後を見据えて設計されており、いわゆる学校という佇まいではありません。しかしよく見ると、校庭には鉄棒やブランコが。さらに中に足を踏み入れると、校内放送用のスピーカーや理科室の実験用シンクが残されており、「懐かしい!」とテンションが上がります。
中でも特に写真映えしそうなのが音楽室です。木琴やトライアングルなど、教材として使われていた楽器が、子どもの頃の記憶を一気に呼び起こします。自由に使えるものもあるので、小道具として添えてみてはいかがでしょうか。
既存の学校道具に無印良品の商品を組み合わせ、この施設の過去と現在を象徴しているエントランスのディスプレイも撮りどころ。まるで雑誌の表紙のような写真が撮影できます。
MUJI BASE OIKAWA
住所 千葉県夷隅郡大多喜町小田代524-1
TEL 0470-62-6096
営業時間 10:00〜18:00 (事務局受付時間)
定休日 不定休
静けさに包まれて歩く、清流沿いの散策路
面白峡遊歩道
小湊鐵道バス「原ノ台」停留所で降車し、ツツジの名所である「水月寺」の裏手から養老川方面続く170段の階段を下りていくと、「面白峡遊歩道」にたどり着きます。ここは養老川沿いにある約1㎞の遊歩道。足元は平坦に整備されているのでスニーカーなら安全に歩けます。
一般道から少し距離があるため、あたりは静まりかえっています。聞こえてくるのは清流のせせらぎと、野鳥のさえずりだけ。季節によって新緑や紅葉の美しい風景が視界いっぱいに広がります。
開放的な水辺のフォトスポットは、風景写真の練習に最適です。飛び石のように連なる橋を画角に入れてみたり、手前の木々を主役に据えて奥行を表現したり、さまざまなバリエーションで自然の美しさを切り取りましょう。運が良ければ野鳥の姿も捉えられるかもしれません。
面白狭遊歩道
住所 千葉県夷隅郡大多喜町 小沢又出入口~岩井原出入口
養老渓谷を代表する名瀑でダイナミックなショットを狙おう
粟又の滝
房総一の名瀑とも言われる「粟又の滝」は、写真好きなら一度は訪れたいフォトスポットです。約100mにわたって流れ落ちる、養老渓谷最大のスケールを誇る名瀑で、ゆるやかな階段状の岩肌を滑り降りるように流れています。
滝壺のすぐそばまで歩いて行けるので、大迫力の滝の姿を見上げる形で収めることができます。滝を上るように小径を上っていくと、今度は滝壺側を見下ろすアングルに。どちらも自然の美しさやスケールの大きさが伝わるダイナミックな風景写真になります。
また、粟又の滝は千葉県屈指の紅葉の名所としても知られています。秋に訪れれば、色づいた木々と流麗な滝の組み合わせで、ポストカードのような一枚が撮れるはず。ポートレートの背景としても、見事に主役を引き立ててくれます。
粟又の滝
住所 千葉県夷隅郡大多喜町粟又8-1
渓谷美を背景に、色とりどりのジェラートが映える!
山里のジェラテリア 山猫
旅の最後は、美味しいスイーツで締めましょう。粟又の滝そばにある「山里のジェラテリア 山猫」は、地元で採れた野菜や果物を使った本格的なイタリアンジェラートを提供しており、観光客のみならず地元の方からも愛されています。
定番のフレーバーの他、旬の食材を使った季節ごとのメニューも人気。選びきれなければダブル、トリプルでオーダーしても、お互いに違うフレーバーを選んで味見し合ってもいいですね。
ジェラートはワイドな窓から景色を眺めながらいただくことができますが、一番のおすすめは、粟又の滝に面したテラス席。窓際にジェラートを置いたら、溶ける前に手早く撮りましょう。カップには店主の飼い猫をモデルにしたというイラストが描かれています。
山里のジェラテリア 山猫
住所 千葉県夷隅郡大多喜町粟又5-1
営業時間 土曜日/11:00~17:00 日曜日/10:00~17:00 月~金曜日/11:00~16:00
定休日 不定休(祝日は営業)
大自然に人の手が加わった独特の絶景や、時の流れが止まったようなノスタルジックな空間を撮影できるのが養老渓谷の魅力。シャッターを切る手が止まらない場所です。季節によってさまざまな表情を楽しめることでしょう。電車とバスの時間は予め調べておくことをおすすめします。